こんにちは、個別指導塾ノーバス大宮東口校専任講師の笠木です。
今日は、定期テストや資格試験、模試などで試験本番で緊張してしまう人たちへのアドバイスを伝授します!
脳を冷静にさせるには “あれ” をしてはいけない
資格試験を受験する当日、過度に緊張した結果「覚えたはずの頻出単語が思い出せない」「応用問題を前にして思考が働かない」といった状態に陥り、本来の実力を発揮できなかった経験はありませんか?
試験当日に実力を発揮するには、勉強を頑張るだけでなく、本番に強い自分になるための準備や心がけが必要です。
そこで今回は、試験前の対策を2つと試験当日の対策を2つそれぞれ紹介します。
〜試験前編〜
【試験前1】模擬試験を使って復習&当日の時間配分を考える
『マンガでわかる 現役東大生が実践していた! 東大を攻める7つの勉強習慣』の共著者であり、東大インカレサークル「東大まんがくらぶ」で自身の勉強法をわかりやすく紹介している古賀さくろう氏は「模擬試験を最高の問題集だと考えて復習することが大切」と説きます。なぜなら、模擬試験にはテスト本番でも出るような問題が出題されるからです。
古賀氏は受験生の頃、模擬試験専用のノートを作成して、解けるようになるまで週1回ほどのペースで復習していたそう。その際は、模擬試験で間違えた問題を左側のページに、解答する際は右側のページに書いていたと言います。そして、正解できたら該当ページに大きくバツ印をつけて達成感を味わっていたとのこと。
実は、この復習ペースは脳科学的にも理にかなっていると言えます。脳神経外科医の築山節氏によると、弱点ばかりに目を向けていると「できない」「難しい」という印象が強くなり、意欲低下によって脳の覚醒度が落ちるのだとか。弱点に向き合うのが週1回であれば、脳の働きを抑えることなく適度なペースで苦手を克服できるのではないでしょうか?
同じく上述の書籍の共著者であるmosso(モッソ)氏は、模擬試験をもとに試験当日の時間配分を割り出して、徹底した当日のシミュレーションを行なっていたそう。
たとえば、東大の数学試験は後ろの設問になるほど難しくなる傾向があるので、1〜2つめの大設問には少なめに、3〜4つめの大設問には多めに時間を配分していたとのこと。また英語なら、時間のかからない暗記問題を先に解いて読解はあと回しにしたり、リスニングの問題文を事前に読んでおいたりするとよいことも発見できたそうです。社会人の資格試験などでも同様に、こうした傾向をつかむことができるでしょう。
見直しの時間を考慮しつつ、これらの時間配分を意識して模擬試験を解き直すと、よりいっそう自信がつきます。
【試験前2】徹夜の勉強は絶対にしない
勉強・資格コンサルタントとして50冊以上の著書をもつ高島徹治氏は、記憶の観点から、長期的な勉強が必要な試験に合格したいなら徹夜は絶対に大損だと説きます。なぜなら、記憶の司令塔である脳の海馬は夜ほど活発に働くからです。
高島氏によれば、日中活動しているときの脳は身体を動かす指令を出しながら記憶を定着させている一方、睡眠中の脳は記憶の定着だけに専念しているそう。睡眠には、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、このうちレム睡眠に、記憶の定着を促す働きがあると言います。
しかし徹夜をするということは、脳が記憶の定着に専念する時間を奪うのと等しいと同氏は警告します。ノンレム睡眠とレム睡眠は、それぞれ70分・20分を目安にサイクルを形成しているとのこと。記憶を整理させるには睡眠時間を6時間以上確保して、レム睡眠が少なくとも4回来るようにするとよいそうですよ。
記憶に限らず、徹夜あるいは深夜遅くまで行なう勉強は、脳全体の機能にも悪影響を及ぼします。医学博士の三島和夫氏によれば、深夜に勉強する夜型生活が当たり前になると体内時計が遅い時間帯で固定されるため、早寝が難しくなるのだそう。つまり試験直前だけ睡眠をしっかりとろうと考えても、眠りにつけず、寝不足のまま当日になってしまう可能性があるのです。
また睡眠医学の第一人者である内村直尚氏いわく、寝不足の脳はほろ酔いのときと同じ状態。情報処理能力や注意力、判断力などが低下しミスをしやすくなると言います。脳のコンディションを整えておくという意味でも、普段から徹夜はしないように心がけましょう。
徹夜をよくしてしまう人や、仕事が終わってから勉強を始め、就寝する頃にはもう明け方……といった夜型の学習スタイルを続けてしまっている人は、早めにベッドに入り、起床時間を前倒しにして朝に勉強してみてはいかがでしょうか。学習事業を展開している森大輔氏によると、朝は1日で最も頭がさえ、集中力・やる気・思考力が高い「ゴールデンタイム」なのだそうです。睡眠をしっかりとって夜のうちに記憶を定着させているので、朝には脳へ新しい知識がどんどん入る状態になっているはずですよ。
〜試験当日編〜
【試験当日1】いつもと違うことをせず、リラックス
試験当日は、「いつも通りに過ごす」と「リラックス」のふたつを意識しましょう。資格スクエア代表・弁護士の鬼頭政人氏は、脳を冷静な状態で試験にもっていくため、普段と違うことをしてはいけないと説きます。ただでさえ緊張して慌ててしまいやすい試験当日は、ルーティン化されている日常の行動が脳を落ち着かせてくれるはず。たとえば、毎朝犬の散歩をしているなら当日の朝も家族に任せず自分で散歩させるべきですし、朝食は軽めに済ませている人なら当日も軽めにするべきでしょう。
そして心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏は「試験当日はリラックスすること、それだけでほかの人よりずっと有利な立場にいられる」と言います。リラックスするためにおすすめなのが、意図的に笑顔をつくること。
笑ったときに私たちの脳で分泌されるエンドルフィンには、脳を活性化させる働きがあり、集中力を高めてくれると脳科学者の中野信子氏は言います。また著書でエンドルフィンについて詳しく解説している医師の奥仲哲弥氏いわく、笑顔をつくるときは「ムフフ」というような小さなものでも効果的だそうですよ。
【試験当日2】まずは簡単な問題を解いて、成功体験をつかむ
いざ試験本番に臨むときは、簡単に解けそうな問題から取りかかりましょう。序盤のうちに「解けた!」という成功体験をつかむためです。
心理学の観点で見ると、試験問題を1問目から順番に解いていくことは、場合によってはパフォーマンスを落とす原因になると、前出の佐々木氏は説きます。というのも、人間には成功すれば成功を信じ、失敗すれば失敗すると思い込む性質があるから。たとえば最初の数問が難しいと、「今年の試験は難易度が上がっている? 不安になってきた」と悪いほうへ思考が働いてしまい、そのあとの問題も思うように解けなくなる可能性があります。
そこで、簡単そうな問題から取りかかるのが吉だというわけです。具体的なやり方としては、実業家で経営コンサルティング業を手がけるレバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長の本田直之氏による「レバレッジ勉強法」が参考になります。手順は次のとおりです。
最初の1〜2分で試験全体を見る難しい問題には印をつけてあと回しにするできる問題から解き始めるできると思ったが迷った・自信がない問題は、解いたあとに印をつけておく
ここまで終わってようやく、難しい問題や自信がない問題に取りかかります。前出のmosso氏が暗記問題から解いて読解をあとに残していたのも、この法則に共通するところがありますね。
試験では空欄をつくりたくないと考えがちですが、最初から難しい問題に向き合うのは時間の浪費につながると佐々木氏は言います。また脳科学者の澤口俊之氏によれば、成功体験を得て報酬(=合格)を意識できると、思考力ややる気を高めるドーパミンが分泌されてパフォーマンスが高まるとのこと。試験当日に最高のパフォーマンスを発揮するためには、簡単な問題に触れて早めに成功体験を味わうことを重視しましょう。
模擬試験の活用法から、当日のメンタルコントロールまで、試験当日を最高の状態で迎える方法は数多くあります。テストでしっかり実力を発揮するためにも、ご紹介した4つをぜひ始めてみてください。
ノーバスでは、授業含め、各教科ごとに生徒に合った勉強法を講師陣がアドバイスしています。
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